J:プレコンセプションケア
Q. プレコンセプションケアとは何ですか?なぜ大切なのですか?
プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、「妊娠前から」の健康管理・生活習慣の整え・医療的チェックを通じて、妊娠しやすい体づくりと健やかな赤ちゃんの誕生を目指す取り組みです。
妊娠・出産の結果は「妊娠してから気をつけ始める」のでは間に合わない部分があります。卵子や精子の質、子宮の環境、葉酸の摂取など、妊娠前の状態が胎児の発育や妊娠合併症のリスクに影響することがわかっています。特に葉酸は妊娠初期(気づく前)から必要なため、妊娠前からの摂取が推奨されます。
Q. 妊活を始める前に整えておくべき生活習慣はありますか?
食生活:
- 葉酸を多く含む食品(ブロッコリー・ほうれん草・アスパラなど)と葉酸サプリを積極的に摂る
- 鉄・亜鉛・ビタミンDを意識したバランスの良い食事
- 加工食品・高糖質食・過度なダイエットを控える
生活習慣:
- 禁煙(タバコは卵子の老化・精子の質低下・流産リスク増加に関与)
- 節酒(アルコールは卵子・精子の質に影響)
- 適切な体重の維持(BMI18.5〜24.9が妊娠しやすい体重の目安)
- 睡眠を7〜8時間確保する
- 適度な運動(過度な運動は排卵に影響することがある)
メンタル:ストレスが長期化すると排卵・ホルモンバランスに影響することがあります。仕事・人間関係のストレスを自分なりに管理することも立派なプレコンセプションケアです。
Q. 葉酸サプリはいつから飲み始めればよいですか?量・選び方を教えてください
葉酸は、妊娠前から摂取を開始することが推奨されています。妊娠を考え始めたとき(できれば妊娠の1〜3か月前から)の開始がおすすめです。
推奨される摂取量:
- 一般的な妊活〜妊娠初期:400〜800μg/日(厚生労働省推奨は400μg)
選び方のポイント:
- 合成葉酸(モノグルタミン酸型)が含まれているものを選ぶ(食品中の葉酸より吸収効率が高い)
- 鉄・ビタミンD・ビタミンB12も一緒に補えるマルチ成分サプリも選択肢に
- 妊活向け・マタニティ向けと明記されたものを選ぶと必要量が計算しやすい
食事だけでは必要量を賄うのが難しいため、サプリメントの活用がおすすめです。
Q. パートナー(男性)にもできる妊活の事前準備はありますか?
はい、男性にも妊娠・出産に向けた準備は重要です。
- 精液検査を受ける:精子の数・運動率・形態を把握しておくことで問題がある場合に早く対応できます
- 禁煙:喫煙は精子の質(数・運動率・DNAの損傷)に悪影響を与えます
- 節酒・適正体重の維持:過度な飲酒と肥満は精子の質を低下させます
- 葉酸の摂取:男性の葉酸不足も精子のDNA異常に関与するという研究があります
- 精巣を過熱させない:長時間のサウナ・長時間の坐位・きつい下着は精子の産生に影響します
- サプリメント:亜鉛・CoQ10・ビタミンEなどが精子の質維持に有望
「妊活は女性がするもの」というイメージがありますが、不妊の半数に男性側の要因が関係しています。パートナーと一緒に準備を始めることが、最も効率よく妊娠を目指す方法です。
Q. 子宮内膜症・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある場合、妊活前に何をすべきですか?
子宮内膜症がある場合:
- 痛みの管理だけでなく、卵巣予備能(AMH)をチェックしておく
- チョコレート嚢胞の大きさと経過を定期的に観察する
- 年齢によっては、不妊専門医への受診を早めに検討する(特に35歳以上)
- 内膜症の手術歴がある方は、AMHがすでに低下している可能性に注意
PCOSがある場合:
- 定期的な排卵があるか確認する
- インスリン抵抗性がある場合は体重管理・食生活の改善を先行させる
- 自然妊娠を目指す場合、排卵誘発剤(クロミフェン・レトロゾールなど)が必要になる可能性がある
- OHSSリスクが高いため、体外受精時には刺激量を慎重に決める必要がある
どちらの疾患も「妊娠できない」わけではありませんが、早めに専門家に状態を把握してもらうことが大切です。
Q. 当院のプレコン相談室ではどんなことが相談できますか?
まずは、貴方が抱えている心配、不安、疑問を聞かせてください。
婦人科ってなんか行きづらい・・・
婦人科って不安・恥ずかしい・怖い・・・
貴方が今感じている心配や焦りなど、看護師とお話しすることで婦人科受診に対する不安や恐怖が少しでも軽減されるよう、いろいろな疑問・質問にお答えします。
まずは、一度お気軽にご相談に来てください!
看護師による初回のご相談は無料です。基本的な婦人科検査・治療の質問や相談ならどのようなことでもお話しください。
※治療による詳細については医師でないとお答えできない場合もございますので、その際には改めて医師の診察を受けてのご説明をさせていただく場合があります。
Q. 妊活中にビタミンDを補充するとよいと聞きましたが本当ですか?
ビタミンDと妊娠・出産の関係については近年多くの研究が行われており、ビタミンDが妊娠率・着床率に関係する可能性が示されています。
- 体外受精の成功率がビタミンD充足の方で高いという研究がある
- ビタミンDは免疫調節・子宮内膜の準備に関与するとされる
- 日本人の多くはビタミンDが不足(または欠乏)状態にある
北海道の特殊事情:北海道は日照時間が少ない期間が長く、紫外線による皮膚でのビタミンD合成が限られます。血液検査でビタミンD値を測定し、不足している場合はサプリメントや食事での補充をお勧めしています。
Q. 体重(BMI)は不妊治療の成功率に影響しますか?
はい、影響があります。BMI(体格指数:体重kg÷身長m²)が妊娠しやすさ・不妊治療の成功率に関与することが多くの研究で示されています。
低体重(BMI18.5未満)の影響:
- 排卵が起きにくくなる(視床下部性排卵障害)
- 無月経・生理不順になりやすい
- 妊娠後も早産・低出生体重児のリスクが上がる
肥満(BMI25以上)の影響:
- 排卵障害(インスリン抵抗性からPCOS的な状態になりやすい)
- 体外受精の採卵数・妊娠率が低下しやすい
- 妊娠合併症(妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群)のリスクが上がる
BMI18.5〜24.9(標準体重)が妊娠率・出産率が最も高いとされています。急激なダイエットは逆効果です。



