K:卵子凍結
Q. 卵子凍結とはどのような治療ですか?採卵から保存・融解・妊娠までの流れを教えてください
卵子凍結とは、排卵誘発剤を使って卵巣から複数の卵子を採取し、現在の技術(ガラス化凍結法)で長期保存しておく方法です。将来妊娠したいタイミングで卵子を融解し、精子と受精させて胚移植を行います。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 初診・検査 | AMH・超音波・ホルモン検査で卵巣の状態を確認 |
| ② 排卵誘発 | 生理2〜3日目から約10日間、毎日注射 |
| ③ 採卵 | 静脈麻酔下で卵子を採取(15〜30分) |
| ④ 凍結保存 | ガラス化凍結法で液体窒素中に保存(年間管理費あり) |
| ⑤ 融解・受精 | 使用したいときに融解 → パートナーの精子と体外受精・顕微授精 |
| ⑥ 胚培養 | 受精卵を胚盤胞まで培養(5〜6日間) |
| ⑦ 胚移植 | 子宮内膜を整えて移植 |
| ⑧ 妊娠判定 | 移植後10〜14日後に採血で確認 |
Q. 卵子の老化とはどういうことですか?年齢で何が変わりますか?
「卵子の老化」とは、年齢とともに卵子の数が減り、染色体異常を持つ割合が増える現象のことです。
| 年齢 | 変化 |
|---|---|
| 〜35歳 | 比較的ゆるやかに減少・質の変化は少ない |
| 35〜39歳 | 減少加速・染色体異常率が上がり始める |
| 40歳〜 | 急激に減少・染色体正常卵子の割合が顕著に低下 |
卵子凍結は「まだ年齢が若いうちの卵子を確保しておく」ことが最大のメリットです。
Q. 卵子凍結はどんな方に向いていますか?何歳まで受けられますか?
こんな方に向いています:
- 今は妊娠のタイミングではないが、将来子どもを希望している方
- パートナーがいない・結婚の予定がまだない方
- キャリアや学業・介護などで今は妊娠が難しい方
- がん治療(化学療法・放射線療法)の前に妊孕性を温存したい方
- AMHが低く、卵子の残数が少なくなっている方
年齢の目安:若いうちに行うほど成功率が高いです。34歳以下が最も成功率が高く、35〜39歳は早めに実施、40歳以上は期待値を現実的に理解した上で検討することをおすすめします。
当院では日本産科婦人科学会・日本生殖医学会の指針に基づき、採卵は満40歳の誕生日まで、保存管理は満45歳の誕生日までとしています。
Q. 卵子凍結の費用はいくらですか?採卵・保存・融解の総額と補助金・助成金を教えてください
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 採卵サイクル(刺激〜採卵〜卵子の凍結) | 約40〜60万円 ※個数によって異なります |
| 年間保存管理費 | 3〜10万円/年 ※個数によって異なります |
| 融解・体外受精・胚移植 | 20〜40万円(使用時) |
2024年現在、北海道には卵子凍結の費用補助制度はありません。なお、がん治療前の妊孕性温存目的の卵子凍結は一部保険適用になります。詳しくは医師にご相談ください。
Q. 凍結した卵子はいつまで保存できますか?保存期間の延長はできますか?
当院では、日本産科婦人科学会・日本生殖医学会の指針に基づき、凍結未受精卵の保存管理は満45歳の誕生日までとしています。45歳を超えての延長保存は、母体と胎児の安全性を考慮すると危険が大きいと判断されるため、満45歳の誕生日を迎えた時点または本人が亡くなられた場合には破棄となります。
ガラス化凍結法では卵子が安定した固体状態(ガラス状)で保存されるため、理論的には10年以上の凍結後でも融解した卵子の生存率は高いことが報告されています。
Q. 凍結卵子を使った場合の妊娠率はどのくらいですか?
凍結卵子の妊娠率は、凍結時の年齢・凍結した卵子の数・卵子の質に大きく依存します。
| 凍結時年齢 | 1個あたりの出産率(目安) |
|---|---|
| 35歳未満 | 約5〜10% |
| 35〜37歳 | 約3〜7% |
| 38〜40歳 | 約2〜4% |
1個あたりの数字は低く見えますが、複数の卵子があれば合計の可能性は上がります。凍結卵子があっても「必ず妊娠できる保証」にはなりません。あくまで「選択肢を増やすための保険」という考え方が現実的です。
Q. 卵子凍結と胚(受精卵)凍結の違いは何ですか?未婚の場合はどちらですか?
卵子凍結:採取した卵子をそのまま凍結保存する方法。パートナー(精子)がなくても保存できるため、未婚・独身の方に向いています。
胚(受精卵)凍結:採取した卵子をパートナーの精子と受精させてから胚として凍結する方法。卵子凍結より着床率・妊娠率が高いとされています。既婚またはパートナーがいる場合に選択できます。
未婚の場合は?未婚・独身の方は精子提供者がいないため卵子凍結のみが選択肢となります。
Q. 卵子凍結をしていても、自然妊娠を目指すことはできますか?
はい、できます。卵子凍結はあくまで「将来の選択肢を保存しておく」ことであり、凍結後も引き続き自然妊娠を目指すことは可能です。凍結した卵子を使わずに自然妊娠できた場合は、凍結卵子を移植する必要はありません。
一方で、「凍結さえしておけば大丈夫」と安心して妊活を先延ばしにすることのリスクもあります。「将来のための保険」として凍結しつつ、自然妊娠も並行して意識しておくことが最も合理的です。
Q. 何個凍結すれば安心ですか?年齢別の目安を教えてください
| 年齢 | 目安個数 |
|---|---|
| 35歳未満 | 10〜15個 |
| 35〜37歳 | 15〜20個 |
| 38〜40歳 | 20〜30個以上 |
この数は融解後の生存率・受精率・胚盤胞到達率・着床率など複数のステップでの損失を計算した上での目安です。1回の採卵で目標個数が得られるとは限りません。まずはAMH検査で現状を確認してから、目標個数と採卵回数の計画を一緒に立てましょう。
Q. 卵子凍結中に結婚した場合、受精卵(胚)への変更はできますか?
基本的には対応できますが、手順と同意手続きが必要です。凍結中の卵子を融解してパートナーの精子と受精させ、受精卵(胚)として再凍結することが可能です。
ただし融解した卵子がすべて受精・胚盤胞になるわけではないため、卵子を融解するタイミングは慎重に判断する必要があります。急いで融解・受精しなくても、そのまま卵子として保存し続けることも選択肢です。医師と相談して最善のタイミングを決めましょう。
Q. 卵子凍結のデメリット・リスクを正直に教えてください。後悔しないためのポイントも教えてください
デメリット・リスク:
- 費用が高い:複数回の採卵と毎年の更新費用を合わせると合計100万円以上になるケースも
- 妊娠を保証するものではない:凍結卵子があっても妊娠できないことがある。特に高齢での凍結は期待値が低い
- 採卵に伴うリスク:OHSSの可能性・採卵時の麻酔リスク
- 融解しても生存しない卵子がある:融解後の生存率は高いが100%ではない
- 「保険がある」という安心感で妊活が遅れるリスク
- 凍結卵子を使わずに終わる可能性
後悔しないためのポイント:
- 「保険」であることを正しく理解した上で検討する
- できるだけ若い年齢で・十分な個数を凍結する
- 使用するかどうかは数年単位で定期的に見直す
- 「凍結したから大丈夫」という過信は禁物
「迷っている」という段階でのご相談も歓迎しています。現状のAMHと年齢から、凍結する価値があるかどうかも含めてお話しします。



