さっぽろARTクリニックn24では、不妊治療でよくある疑問をカテゴリに分けてまとめました。妊活をはじめるタイミング、初診の準備、検査の内容、タイミング法・人工授精・体外受精の流れ、排卵誘発剤の種類と副作用など、幅広い疑問を網羅しています。費用・保険適用のしくみも詳しく解説していますので、受診を検討中の方はもちろん、治療中に気になることが生じたときにもぜひご活用ください。
A:妊活をはじめる前に
Q. 妊活と不妊治療は何が違いますか?まず何から始めればよいですか?
「妊活」とは、妊娠を目指して生活習慣を整えたり、排卵日を意識してタイミングを計ったりする、医療に頼らない自然な取り組みを指します。一方「不妊治療」は、医師の診察・検査・薬や処置を通じて妊娠を助ける医療行為です。
まず何から始めればよいか迷う方も多いですが、おすすめは「婦人科・不妊専門クリニックへの相談」から始めることです。検査を受けてみると、原因が思いがけない場所にあるケースや、すでに医療的なサポートが必要な状態であることが判明する場合があります。「まだ妊活を始めたばかりだから」と受診をためらわずに、早めに専門家に相談することで、治療が必要かどうかを正確に判断できます。
当院では「とりあえず一度話を聞いてほしい」という段階の方には、『プレコン相談室』という看護師/体外受精コーディネーターが話を聞いてくれる外来を無料で提供しています。今あなたが気になることを聞いて、あなたに適切なアドバイスをしてくれます。またその上で必要なら医師の診察を受けることもできます。詳しくは当院のプレコン相談室をご覧ください。
Q. どのくらいの期間妊娠しなければ、不妊を疑った方がよいですか?
一般的に、避妊をせず通常の夫婦生活を1年間続けても妊娠しない場合を「不妊」と定義します(日本産科婦人科学会)。ただしこれはあくまで目安であり、年齢によって受診のタイミングは変わります。
年齢別の目安:
- 35歳未満:1年を目安に受診を検討
- 35〜39歳:6か月経っても妊娠しなければ早めに受診
- 40歳以上:妊活開始と同時に受診を強くおすすめします
女性の卵子の数と質は年齢とともに低下します。特に35歳以降はその変化が加速するため、「もう少し様子を見ようか」と時間を過ごすことが、結果的に選択肢を狭めてしまうことがあります。「まだ大丈夫」と思わず、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。
Q. 不妊治療はいつから始めるべきですか?年齢・タイミング別の目安を教えてください
不妊治療を開始するタイミングに、万人共通の「正解」はありません。ただし、年齢は妊娠の可能性に大きく影響するため、以下を目安にしてください。
| 年齢 | 推奨行動 |
|---|---|
| 30歳未満 | 妊活開始から1年後を目安に受診を検討 |
| 30〜34歳 | 6か月〜1年を目安に受診 |
| 35〜39歳 | 妊活開始から3〜6か月で受診 |
| 40歳以上 | 妊活開始とほぼ同時期に受診を推奨 |
また「以前に流産を経験した」「生理不順がある」「過去に卵巣や子宮の病気と言われた」などの場合は、年齢に関わらず早めの受診をおすすめします。
当院では、受診のタイミングについても初診時にご相談いただけます。「まだ早いかな?」と思っている段階でも歓迎しています。
Q. 年齢が上がると妊娠しにくくなるのはなぜですか?卵子の老化とは何ですか?
女性が生まれたとき、卵巣の中にはすでに一生分の卵子(の素)が存在しています。この数は年齢とともに減り続け、増えることはありません。そのため、20歳で発育、排卵してきた卵子は卵子も20歳です。40歳で発育、排卵した卵子は卵子も40歳になります。つまり卵子の「質」も加齢により変化し、特に卵子及び受精卵が染色体異常を持つ割合が増えていきます。これが「卵子の老化」と呼ばれる状態です。
卵子及び受精卵に染色体異常があると、そもそも妊娠しづらくなったり、妊娠したとしても流産が増えることにつながります。これが年齢とともに自然妊娠率が下がり、流産率が上がる主な理由です。
一方、男性の精子は毎日新しく作られるため、卵子ほど急激な変化はありませんが、40歳以降は精子の質にも変化が生じることがわかっています。
年齢の影響は避けられませんが、加齢で変化することを知ることが第一で、その上でどう対処していくかを考えていくのが重要となります。
Q. 不妊治療にはどのくらいの費用がかかりますか?保険は使えますか?
2022年4月から不妊治療に公的医療保険が適用されるようになり、以前と比べて費用の負担が大幅に軽減されました。
また自治体によっては、不妊治療費の助成制度が利用できる場合もあります。当院の具体的な費用については、下記ページをご覧ください。「治療費が不安で踏み出せない」という方もまずはお気軽にご相談ください。
Q. 不妊治療はどんな流れで進みますか?ステップアップとはどういう意味ですか?
不妊治療は一般的に、身体への負担が少ない治療から順番に試していく「ステップアップ」という考え方で進めます。
ステップアップの基本的な流れ:
- 検査・診断 → 原因を調べる(ホルモン・子宮卵管造影・超音波・精液検査など)
- タイミング法 → 排卵のタイミングに合わせて自然妊娠を目指す
- 人工授精(AIH) → 提出してもらった精子の動きの良い精子のみを子宮内にカテーテルで直接注入する方法
- 体外受精(IVF) → 卵子を複数個発育させて、体外に取り出して卵子と精子を受精・培養した上で良好な受精卵のみを子宮に戻す方法
ただしステップアップは「必ずタイミング法から順に試す」ものではありません。年齢や検査結果によっては、最初から体外受精が最善の選択肢になる場合もあります。まずは検査を行い、年齢やAMHの値、検査結果をもとに、お二人にとって最も最適な治療法をご提案しています。
Q. 不妊の原因にはどんなものがありますか?女性・男性それぞれの割合を教えてください
不妊の原因は女性側だけにあるとは限りません。WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊カップルの原因として女性側のみが約41%、男性側のみが約24%、男女両方に原因があるケースが約24%、原因不明が約11%とされています。
つまり男性側に原因がある(または男女両方に原因がある)割合は半数近くに上ります。
女性に多い原因:
排卵障害(多嚢胞性卵巣症候群など)、卵管の詰まりや癒着、子宮内膜症、子宮筋腫・子宮奇形、加齢による卵子の質低下など
男性に多い原因:
精子の数が少ない(乏精子症)、動きが弱い(精子無力症)、精子がいない(無精子症)など
当院では、初診時から男女両方の検査をご提案しています。「男性は問題ないと思う」という思い込みを持たず、二人で一緒に原因を調べることが治療の近道となります。
Q. 以前に流産を経験しています。不妊治療は受けられますか?
はい、受けられます。流産の経験がある方も、当院の診察・治療を受けることができます。
流産は決してまれなことではなく、臨床的に確認された妊娠の15〜20%程度に起こると言われています。ただし、繰り返す流産(2回以上)は「不育症」の可能性があり、別の原因検索と対策が必要です。
初診時に流産の回数・時期・経過を詳しくお聞きし、現在の状態に合わせた検査計画を立てます。「また流産してしまうのでは」という不安は当然のことです。できる限り原因を調べ、次の妊娠に向けての準備を一緒に進めましょう。
Q. パートナーが一緒に来院できなくても大丈夫ですか?
はい、基本的には一方だけで受診していただくことができます。
検査・診察の多くは女性側だけで行えます。ただし、精液検査など男性側の検査が必要な場合は、ご自宅で採精後に持参いただく方法もあります。また治療の方針を決める際には、後日お二人でご来院いただくか、ご説明の内容をパートナーに共有いただければ対応可能です。
「仕事の都合で来られない」「まだパートナーに話せていない」など、さまざまな事情があると思います。まずはお一人でご来院いただき、状況をお話しください。その上で、お二人の生活スタイルに合わせた通院計画を一緒に考えます。
Q. 札幌近郊に住んでいますが、通院の頻度はどのくらいですか?
治療の段階によって通院頻度は変わります。
治療別の通院頻度の目安:
- タイミング法・人工授精:1周期あたり2〜4回程度(排卵日前後に集中)
- 体外受精(排卵誘発及び採卵周期):排卵誘発周期では、月経開始後の卵胞発育の観察に2〜4回の超音波/ホルモン採血、そして採卵、採卵後7日目前後に卵巣過剰刺激症候群の確認診察及び凍結胚の説明で4〜7回程度
- 凍結胚移植周期:4〜5回程度
中々予定のたたない治療で、自分の都合でも、病院の都合でもなく、卵の発育次第で予定が決まります。できるだけ臨機応変に動けるようにして頂ければと思いますが最適なスケジュールを一緒に検討していきましょう。
Q. 不妊治療の保険適用はいつから始まりましたか?年齢制限や適用条件を教えてください
2022年4月1日より、体外受精・顕微授精を含む不妊治療への公的医療保険が適用開始となりました。それ以前は自費診療が基本だったため、この改正は大きな制度変更です。
主な適用条件:
- 対象者:法律婚または事実婚のカップル
- 年齢制限:女性が43歳未満(治療開始時点)
- 回数制限:子ども1人につき、採卵を伴う治療は通算6回まで(40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回)
- ※タイミング法・人工授精には年齢・回数の上限なし(保険適用内で実施可能)
なお保険適用の対象外となる「先進医療」(タイムラプス・ERA・ERPeakなど)は、別途自費となります。ただし先進医療と保険診療を組み合わせた「混合診療」は一定の条件のもとで認められています。
制度の詳細は変更になる場合もありますので、受診時に最新の情報をご確認ください。
Q. 不妊治療中も仕事を続けられますか?両立のポイントを教えてください
多くの方が仕事を続けながら治療を受けています。ただし、採卵前の通院が集中する時期や、採卵当日・移植前後は急な休みが必要になることもあります。
両立のための実践的なポイント:
- 職場への部分的な開示:細かい内容を伝える必要はありませんが、「通院が必要な時期がある」と伝えておくと急な休みを取りやすくなります
- フレックス・有給の活用:クリニックは午前診療の日と、午前午後診療の日があります。午後しか通院できないと、曜日が限られてしまうので、パートの方は午後から仕事のパートの方が受診はしやすくなるかもしれません。
- 採卵は平日が多い:卵胞の成熟に合わせて採卵日が決まるため、採卵を週末に必ず合わせることは基本的には難しいです。
- ストレスを抱えすぎない:「治療と仕事の両立が当然」と無理に考えず、しんどいときは医師や看護師に相談してください
当院では、できるだけ通院回数を集約するなど、働きながら治療を続けやすい体制を意識しています。「仕事を辞めなければいけないのでは」と心配されている方も、まずご相談ください。
B:はじめての受診
Q. 初診の予約はどのようにすればよいですか?電話で何を伝えればよいですか?
当院へのご予約は、お電話またはWeb予約フォームからお申し込みいただけます。
お電話の際に伝えていただきたい主な内容は以下の通りです。
- 「不妊治療の初診希望」とお伝えください
- 直近の生理開始日(わかる範囲で構いません)
- 現在服用中のお薬がある場合はその旨
- ご希望の日程・時間帯(可能であれば複数)
「なんと伝えればいいかわからない」という場合でも、「不妊について相談したい」と一言おっしゃっていただくだけで大丈夫です。受付スタッフが丁寧にご案内します。初診前に疑問点がある場合も、お電話でご質問いただけますので、お気軽にご連絡ください。
Q. 初診にはどんな持ち物・準備が必要ですか?
必ずお持ちいただくもの:
- マイナンバーカード(マイナ保険証)
- お薬手帳(服薬中の場合)
- 他院での検査結果・紹介状(お持ちの場合)
あると役立つもの:
- 基礎体温表(つけている場合)
- 生理の周期・痛みなどのメモ(スマホのアプリでも可)
- パートナーのご来院が難しい場合、精液検査の結果(他院で済んでいる場合)
初診の前に必ず基礎体温表を用意していなくても問題ありません。これから基礎体温を始めようと考えている方は、来院後にご案内します。「何も持っていない」という状態でも受診できますので、まずはお気軽にお越しください。
Q. 初診はどのくらい時間がかかりますか?当日の流れと何をするかも教えてください
初診は、問診・診察・検査を含めて2〜3時間程度が目安です(当日の混み具合や検査内容によって前後します)。
初診の大まかな流れ:
- 受付・問診票の記入 → 基本情報・これまでの妊娠歴・生理の状態・治療歴などを記入
- 医師による問診 → いつから妊活をしているか、気になる症状など、お話を伺います
- 内診・超音波検査 → 子宮や卵巣の状態を確認します(痛みは最小限に配慮しています)
- 採血(ホルモン検査など) → 生理周期に合わせて行う場合あり
- 次回以降の検査予約の取り方説明 → 月経周期に合わせて行う検査の予約の取り方などを看護師から説明を受けます。
初診で「すぐ治療を始めなければいけない」ということはありません。まず現状を把握することが目的ですので、リラックスしてお越しください。
Q. 生理中でも初診を受けられますか?受診に適したタイミングを教えてください
基本的には初診は月経周期のいつ受診でも構いません。事前予約をとるため、実際に初診日の月経周期も正確には予想できません。検査にはいつ行ってもいい検査、月経周期が限定される検査等があるため、いずれにしろ1日ですべて終わるものではありません。初診時にはその日にできる検査を行い、月経周期に合わせて行う検査は改めて行ったりしながら、行うべき検査をすべて行っていきます。
そのため「生理が終わるまで待った方がいいかな」とためらわずに、ご都合のよいタイミングで初診予約を取ってお越しください。
Q. 夫(パートナー)が来られない場合、妻だけで受診できますか?
はい、奥様お一人での受診が可能です。初診時に夫婦で揃う必要はありません。
ただし不妊治療は「二人の治療」ですので、精液検査などパートナーの協力が必要な場面は出てきます。精液検査はご自宅で採精後に持参いただく方法もありますので、初診時にご夫婦が一緒に来院できなくても後日の受診で対応することはできます。他に男性は感染症採血も必要となるのでどこかでは一度は来院をお願いしています。
Q. 他院で治療を受けていましたが、転院できますか?紹介状は必要ですか?
はい、他院からの転院も受け付けています。紹介状がなくても受診できますが、お持ちであればご持参ください。
転院時に役立つ書類・情報:
- これまでの検査結果(ホルモン値・精液検査・超音波所見など)
- 使用した薬の名前・量
- 採卵・移植の記録、凍結胚の有無
- 紹介状(他院が発行してくれる場合)
特に凍結胚が他院にある場合は、胚の移送や廃棄・管理の手続きについて前の医院と相談が必要になります。当院でもできる限りサポートしますので、転院をお考えの方はお気軽にご相談ください。
Q. 初診でどんな検査をしますか?
初診時の検査内容は、受診のタイミング(生理周期の何日目か)によって変わります。
初診時に行う主な検査:
| 検査の種類 | 内容 |
|---|---|
| 経腟超音波検査 | 子宮・卵巣の形や大きさ、卵胞の状態を確認 |
| ホルモン検査(採血) | TSH・プロラクチン・男性ホルモン・貧血検査など |
| AMH検査 | 卵巣予備能(残りの卵子の目安)を確認 |
| 風疹抗体検査 | 妊娠前の感染予防の確認 |
| クラミジア検査 | 卵管障害の原因となる感染の有無 |
このほか、子宮がん検診や血液型・感染症検査なども初診時や初期に行うことがあります。月経周期に合わせて行う検査もあります。そのため初診でいきなり全部の検査をするわけではなく、まずは基本的なものから順番に進めていきますので、ご安心ください。
Q. 初診の費用はどのくらいですか?保険は使えますか?
初診は、基本的には保険診療で受けていただけます(マイナ保険証をお持ちください)。
自己負担額(3割負担の目安)は、行う検査の内容によって変わりますが、初診時の診察・問診・超音波・一般的なホルモン採血をまとめて行った場合、5,000〜15,000円程度が目安です。
Q. 未婚ですが受診できますか?
はい、未婚の方でも受診できます。
婦人科的な検査(超音波・ホルモン検査・AMH検査など)は婚姻の有無に関係なく受けることが可能です。将来の妊娠に備えて「今の自分の状態を知っておきたい」「卵子凍結を検討したい」「生理不順が気になる」などの理由でご来院いただいている方も多くいらっしゃいます。
なお、2022年の保険適用における不妊治療は「法律婚または事実婚」が条件となっています。未婚の場合は卵子凍結や一般婦人科的な診察・検査が中心となりますが、それでも受診の価値は十分にあります。
Q. 当院の診療時間・休診日はいつですか?予約が取りにくい場合はどうすればよいですか?
休診日は日曜・祝日となります。土曜日は毎週診療を行っています。診療時間は曜日によって異なります。下記ホームページ内リンクをご参照ください。
予約が取りにくいと感じた場合は、以下の方法をお試しください。
- 早めの予約:通院は月経周期に合わせての予約となります。生理が来たタイミングで次の予約を早めにいれるようにすると、比較的スムーズに予約を取ることが出来ます。受診日が近づいてからだと、予約が埋まってしまう可能性が出てきますので早めの予約をお勧めします。
当院は完全予約制となっていますので、予約がいっぱいのところに予約を行うことはできません。また、予約日の24時間前からはネットでの予約ができなくなるため、こちらにつきましても早めの予約をお勧めします。
Q. 他の医療機関からの紹介状なしで受診できますか?
はい、紹介状がなくても受診できます。
当院は完全紹介制ではありませんので、「近くのクリニックに行ったことはあるが紹介状はない」「初めて不妊の専門クリニックを受診する」という方もそのままお越しください。
ただし、以前に検査を受けた医院での結果資料(ホルモン値・精液検査・手術歴など)をお持ちの場合はご持参いただくことで初診での説明がよりスムーズになります。前医での治療内容がわかるメモや薬の記録があれば、それらも役立ちますので持参していただければ助かります。



