体外受精の保険適用回数は何回まで?(6回・3回)
2022年4月から始まった不妊治療の保険適用には、以下の回数制限があります。回数とは胚移植の回数となります。
| 治療開始時の女性の年齢 | 1子につき保険で使える回数 |
|---|---|
| 40歳未満 | 胚移植を伴う治療を6回まで |
| 40歳以上43歳未満 | 胚移植を伴う治療を3回まで |
この「回数」は胚移植1回を1カウントとします。1回の採卵で複数の胚を凍結し、複数回移植した場合には、胚移植の回数分がカウントされます。逆に採卵しても基準を満たす胚を確保できなかった場合にはカウントはされません(胚移植を行っていないから)。
保険適用回数の数え方|1回と数えるのは「胚移植」

例①: 採卵→新鮮胚移植→着床せず(1回消費)
例②: 採卵→胚凍結→凍結胚移植×3回(3回消費)
例③: 採卵→正常受精に至らなかったため移植できる胚を得られず(1回消費されない)
よくある勘違い: 「採卵のたびに1回消費する」と思っている方がいますが、正確には「胚移植のたびに1回消費」です。
流産・出産で回数はリセットされる?
現行制度では、基本的には流産後も回数はリセットされません。
胚移植後に妊娠したが流産した場合も、胚移植1回としてカウントされたままです。流産後は基本的には回数のリセットはありませんが、流産の週数によってはリセットされる場合があります。下記を参考にしてください。
| ケース | 回数のリセット |
|---|---|
| 妊娠12週未満の流産 | リセットされない |
| 妊娠12週以降の流産(死産扱い) | リセットされる ※死産届の提出が必要 |
| 出産(分娩・帝王切開)に至った場合 | リセットされる |
回数制限は撤廃されるのか|2026年10月時点の状況
「回数制限がなくなるという話を聞いたのですが」というご質問をいただくことがあります。
2026年10月時点で、回数制限および年齢制限は変更されていません。治療開始時に40歳未満であれば1子ごとに通算6回、40歳以上43歳未満であれば通算3回という枠組みは、2022年4月の保険適用開始から続いています。
制度の見直しについては、学会や関係団体からさまざまな意見が出されていますが、現時点で決まったことはありません。制度が変わるかどうかを待って治療のタイミングをずらすことは、年齢という要素を考えるとおすすめできません。今の制度の中で何ができるかを一緒に考えていくほうが現実的だと、私は考えています。
最新の制度については、こども家庭庁のウェブサイトでご確認ください。
回数を超えたらどうなる?自費診療に切り替わります
保険適用の回数を使い切ると、以降の体外受精・顕微授精は全額自己負担(自費診療)となります。
自費診療の体外受精の費用目安(1周期)
| 内容 | 費用目安(自費) |
|---|---|
| 体外受精(採卵〜新鮮胚移植) | 40〜60万円 |
| 顕微授精(採卵〜新鮮胚移植) | 50〜70万円 |
| 採卵〜胚凍結のみ | 30〜50万円 |
| 凍結胚移植(追加) | 15〜20万円 |
※上記は目安です。使用する薬剤の種類と量、採卵数、培養や凍結の内容によって変動します。胚の凍結保管料、薬剤費、麻酔を使用する場合の費用などが別途かかります。実際の費用は診察のうえ個別にご案内します。
クリニックによって費用は異なります。さっぽろARTクリニックn24の自費診療の費用については、診療費用ページをご参照ください。
体外受精・顕微授精の主なリスクと副作用
費用とあわせて、治療に伴うリスクについてもお伝えしておきます。保険診療でも自費診療でも、治療内容が同じであればリスクは変わりません。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS):排卵誘発剤により卵巣が過剰に反応し、卵巣の腫れ、腹水、まれに血栓症を起こすことがあります。入院が必要になる場合があります。
- 採卵に伴うもの:出血、腹腔内出血、感染、周辺臓器の損傷が起こる可能性があります。麻酔を使用する場合は、麻酔に伴うリスクも伴います。
- 多胎妊娠:複数の胚を移植した場合、多胎妊娠となることがあります。多胎妊娠は早産や妊娠高血圧症候群などのリスクが高くなります。
- 流産・異所性妊娠:妊娠が成立しても流産に至ることがあります。年齢が上がるほど流産率は高くなります。子宮外(異所性)妊娠が起こる可能性もあります。
- 治療が成立しない可能性:採卵しても卵子が得られない、受精しない、胚が育たないなど、胚移植まで到達しないことがあります。その場合も、そこまでにかかった費用は発生します。
リスクの程度は、年齢、卵巣の状態、既往歴によって一人ひとり異なります。治療を始める前に必ず個別にご説明し、ご納得いただいたうえで進めます。
費用負担を減らすための制度
回数を超えて自費診療になった場合でも、以下の制度を活用できます。
① 医療費控除(確定申告)
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円(所得が200万円未満の方は所得の5%)を超えた場合、確定申告で税金の一部が還付されます。
- 対象: 治療費・薬代・通院交通費(公共交通機関)など
不妊治療費は自費でも医療費控除の対象です。レシートや領収書は必ず保管しておきましょう。しょう。
② 自治体の助成制度
一部の自治体では、国の保険適用制度とは別に独自の助成制度を設けている場合があります。対象年齢や支給額は自治体によって異なります。お住まいの自治体(都道府県や市町村)のホームページまたは役所窓口にご確認ください。
回数を超えてからの治療継続の考え方
回数を超えた後も治療を続けるかどうかは、費用・年齢・身体的・精神的な状況を総合的に考える必要があります。
医師への相談ポイント
- これまでの治療経過と今後の妊娠可能性の見通し
- 保険適用外でも選択できる新しい治療法(先進医療等)の有無
- 場合によっては『ステップダウン』して人工授精を行う場合も
- 精神的・身体的な休養期間を設けることの選択肢
保険回数を使い切ったことで焦る気持ちはあると思いますが、主治医と十分に話し合い、自分たちにとって最善の判断をすることが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 回数を超えたとき、保険診療と自費診療を同じ周期に混ぜられますか?
A. 原則として混ぜられません(混合診療禁止)。体外受精が自費になってしまうので、高度生殖医療を行う際に必要となる検査や投薬、行為すべてが自費診療となります。
Q. 転院すれば回数がリセットされますか?
A. リセットされません。保険適用の回数は全国共通で管理されており、医療機関をまたいで引き継がれます。
Q. 回数を超えた後に先進医療を受けることはできますか?
A. 先進医療とは、保険診療と併用出来るが保険では認められていない先進的な治療行為(自費診療)になります。そのため回数を超えたのちに自費で体外受精を行う場合にも、先進医療と同じ医療行為を行うことはできます(自費診療)が、それを先進医療とは呼びません。したがって、その医療行為に対して先進医療の際に得ることができた自治体の費用補助は受けることができません。詳しくは医師にご相談ください。
また、民間生命保険の先進医療特約については、会社や契約によって扱いが異なる場合があります。詳しくはご加入の保険会社にもご確認ください。
札幌で保険回数を超えた後の治療をお考えの方へ
さっぽろARTクリニックn24では、保険適用回数を使い切った後の治療についても丁寧にご相談に応じます。「あと何回使えるか」「次の周期からどうするか」など、現在の状況を整理したうえで最適な治療方針をご提案します。
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参考情報
- 厚生労働省「不妊治療に関する取組」(2022年)
- 一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A」
- こども家庭庁|不妊治療に関する取組
- 国税庁|No.1122 医療費控除の対象となる医療費
- 札幌市|不妊治療費助成(先進医療)
- 北海道|北海道不妊治療等助成事業のご案内
監修: さっぽろARTクリニックn24 院長 藤本 尚
最終更新: 2026年4月








不妊治療の保険適用回数を超えた場合、以降の治療は全額自己負担(自費診療)になります。保険が利かなくなったから治療をやめないといけない訳ではありません。ただし自費診療のため、費用は高額となります。そこで、少しでも費用負担を減らせる制度(確定申告の医療費控除や在住の地方自治体独自の助成制度など)を活用しながら治療を続けることは可能です。その場合はどうするのか?考えてみましょう