卵子凍結の費用について知る前に
卵子凍結は、不妊治療(保険適用の体外受精など)とは異なり、全診療行為が自費診療です。費用の支払いは、その行為がなされた日にその都度支払っていただく形になります。薬剤を処方した日、卵子を採取した日、培養を完了した後に受診した日等です。また卵子凍結では卵子の保存更新の日(1年に1回)にも費用が発生します。診療行為の始まる前に一律で〇〇円支払うというような形ではありません。
また、採卵できた卵子の数・使用する麻酔の種類・排卵誘発に必要な薬剤量は個人差が大きく、同じ治療でも各人によって費用が異なります。「いくらかかりますか?」という質問に一概にお答えしにくいのはこのためです。
費用の構成要素
卵子凍結にかかる費用は、大きく以下の4つに分かれます。
① 採卵前検査
採卵を行う前に、卵巣の状態・ホルモン値・感染症の有無などを確認するための検査です。AMH検査(卵巣予備能の指標)・ホルモン採血・超音波検査・感染症検査などが含まれます。これについては概ね皆さんが同じ検査を行うので個人差はなく、約21,000円程度になります。
② 排卵誘発の薬剤・注射・採卵周期中の検査
自然の周期では1周期に1個しか卵子は育ちません。それを1周期に複数個の卵子を育てるために排卵誘発剤(注射・内服)を使用します。薬の種類・量・期間は卵巣の反応によって異なります。また排卵誘発法も各人の卵巣予備能(AMHで評価)によって異なってきます。そのため、かかる費用にも個人差が生じます。採卵周期中は卵子の発育を適切に判断するために複数回の超音波検査・ホルモン採血も行います。
③ 採卵手術(麻酔含む)
充分に発育した卵子を採取する手術です。局所麻酔または静脈麻酔を使用して行います。費用は採卵手術自体の費用、採取できた卵子の個数に伴う費用がかかります。採卵できた個数が0個の場合でも、採卵手術自体の費用は発生します。
④ 凍結保存費用・保存更新費用
採卵した卵子をVitrification法(ガラス化凍結法)で凍結する際の費用と、凍結後の保存を継続するための年間更新費用が発生します。保存する卵子の個数が多いほど費用も増えます。初年度の凍結費用には1年分の保存費用が含まれており、2年目以降は年に一度の更新費用が必要です。
費用が人によって異なる主な理由
| 変動要因 | 内容 |
|---|---|
| 採卵できた卵子の個数 | 個数が多いほど凍結・保存費用が増える |
| 麻酔の種類 | 局所麻酔か静脈麻酔かで費用が異なる |
| 排卵誘発の薬剤量・期間 | 卵巣の反応によって使用量・期間が変わる |
| 採卵回数 | 目標個数に達しない場合、複数回の採卵が必要になることがある |
| 保存期間 | 保存を続ける年数が長いほど更新費用がかかる |
費用の目安について
費用の総額は、数十万円〜になるケースが一般的です。採卵個数・麻酔の選択・薬剤量によって大きく幅があります。具体的な費用は、患者様が目標としてる凍結個数と、初診時に行ったAMH値などの検査結果を確認することで、より具体的な費用の見通しをお伝えすることができるようになります。
補助金・助成金について
卵子凍結に対する公的補助は、国の制度としては現時点(2026年現在)で整備されていませんが、一部の自治体では独自の助成制度を設けているところがあります。
お住まいの市区町村の窓口や公式サイトで、卵子凍結に関する助成制度の有無をご確認ください。制度の内容・対象年齢・上限金額は自治体によって異なります。
何歳まで受けられる?年齢条件
さっぽろARTクリニックn24では、日本産科婦人科学会の勧告に準じた年齢条件を設けています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 採卵時の年齢上限 | 満40歳の誕生日まで |
| 保存期間の上限 | 満45歳の誕生日まで(超過した場合は廃棄) |
| 学会が推奨する採卵時の年齢 | 36歳未満が望ましい |
年齢が若いほど採卵できる卵子の数・質ともに有利です。「まだ早いかな」と思う年齢であっても、AMH値(卵巣予備能)は個人差が大きく、実際に検査してみないと状態はわかりません。気になる方はまず一度検査を受けることをお勧めします。
卵子凍結の流れ(さっぽろARTクリニックn24の場合)
STEP 1|初診・基本検査
AMH検査・ホルモン採血・超音波検査などを行い、現在の卵巣の状態を確認します。n24では、患者様がどの程度の確率で児を希望されているのか?自己の卵巣予備能を評価したうえで、希望される確率を得るために何個の卵子を保存しておく必要があるのかを提示して、そのためには何回程度の採卵が必要なのかを推定し、それに係る費用も概算ではありますが予想してお伝えします。その上で卵子凍結を行うかどうかを一緒に検討していきます。
STEP 2|採卵周期の開始・排卵誘発
月経開始に合わせて採卵周期を開始します。注射・内服薬で卵胞(卵子の入った袋)を複数育て、採卵日を決定します。周期中は複数回の来院(超音波・採血)が必要です。
STEP 3|採卵
麻酔下で卵巣から卵子を採取します。手術時間は10〜30分程度で、外来(日帰り)で行います。採卵後は院内で休憩し、十分に麻酔覚醒を確認してから、最後に医師の診察を受けたのちに帰宅します。
STEP 4|凍結保存
クリニック内で採取した卵子をVitrification法(ガラス化凍結法)で凍結し、液体窒素タンクで保管します。2年目以降は年に一度の更新手続きが必要です。
STEP 5|将来使用時(顕微授精・胚移植)
妊娠を希望するタイミングで来院し、凍結卵子を融解してパートナーの精子と顕微授精(ICSI)を行います。その後受精卵を培養して基準を満たした胚を子宮に移植し、妊娠を目指します。
将来使用する際の条件
- パートナーの精子の提出が必須(精子提供者なしでの使用は不可)
- 法律婚・事実婚いずれも対応可能
- 将来の顕微授精・胚移植は原則として自費診療となります(2026年4月現在)
よくある質問(FAQ)
Q. 卵子凍結の費用は医療費控除の対象になりますか?
A. ノンメディカルな卵子凍結(将来の妊娠に備えた自費での凍結)は、現時点では医療費控除の対象外とされているケースがほとんどです。詳細はお住まいの税務署または税理士にご確認ください。
Q. 採卵が1回で終わらない場合、費用はどうなりますか?
A. 採卵周期ごとに検査・薬剤・採卵手術の費用が発生します。目標個数に達しない場合、複数回の採卵が必要になることがあり、その分費用も増えます。
Q. 保存を途中でやめることはできますか?
A. はい、可能です。保存をやめる場合は、凍結卵子を廃棄する手続きをとります。更新手続きをしなかった場合も廃棄となりますので、ご注意ください。
Q. 採卵0個だった場合、費用はかかりますか?
A. 採卵手術自体の費用は発生します。ただし、卵子が採れなかった場合は凍結費用は発生しません。
Q. 保存している卵子を別のクリニックに移すことはできますか?
A. 日本生殖医学会「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針 2018」にも記載がありますが、原則として同一施設での管理となります。将来的に使用するクリニックも考慮したうえで保存先を選ぶことをお勧めします。
n24での卵子凍結のご相談について
さっぽろARTクリニックn24では、卵子凍結を検討している方を対象に、まずAMH検査・ホルモン検査・超音波検査を行い、希望される確率を得るためには何個の卵子を保存しておく必要があるのか?そのためには何回程度の採卵が必要なのか?を予想して費用の概算も提示したいと思います。その上で卵子凍結を行うかどうかを一緒に検討していきます。「まだ迷っている」という段階からでもお気軽にご相談ください。
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参考情報
監修: さっぽろARTクリニックn24 院長 藤本 尚
最終更新: 2026年4月









卵子凍結を検討するうえで、「費用がいくらかかるのか」「何歳まで受けられるのか」は最も気になるポイントの一つです。卵子凍結はすべての行為が自費診療であり、採卵できた卵子の個数や使用する麻酔の種類、必要な薬剤量によって費用が大きく変わるため、一律の金額をお伝えすることが難しい治療です。このページでは、費用の構成要素・費用が変わる理由・年齢条件・治療の流れを順番に解説します。実際にかかる費用は、診察でご自身の卵巣の状態を確認したうえでご説明します。