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男性不妊症とは?原因・検査・治療を医師が解説【n24】

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男性不妊症とは、男性側の原因によって自然妊娠が難しくなっている状態のことです。以前は不妊と言えばすべて女性のせいにされているような時代もありましたが、近年は様々な研究が進みそうではないことが分かってきました。不妊カップルの約50%に男性因子が関与しているとされており、不妊治療は女性だけの問題ではありません。今日は男性不妊について話をしていきたいと思います。

男性不妊症とは

男性不妊症とは、精子の数・運動率・形態などに問題があり、自然妊娠が困難または不可能な状態を指します。WHO(世界保健機関)は、避妊をせずに定期的な性生活を1年間続けても妊娠しない場合を「不妊」と定義しており、そのうち男性側に原因があるケースを「男性不妊」と呼びます。

かつて不妊の原因は女性側にあるとされることが多くありましたが、現在の研究では不妊カップルの約50%に男性因子が関与していることが明らかになっています(日本生殖医学会)。

男性不妊の原因

男性不妊の原因は大きく3つに分類されます。

1. 造精機能障害(最も多い)

精巣(睾丸)で精子をうまく作れない状態です。男性不妊の約80%を占めます。

症状内容
乏精子症精液中の精子数が少ない(WHO基準: 1mL中1,600万未満)
精子無力症運動している精子の割合が低い(前進運動精子42%未満)
奇形精子症形態異常の精子が多い(正常形態率4%未満)
無精子症精液中に精子がまったく存在しない

主な原因: 精索静脈瘤(精巣に向かう静脈の拡張)、ストレス、生活習慣(喫煙・過度の飲酒・肥満)、高温環境への長時間ばく露

2. 精路障害

精子を作る機能は正常でも、精子が通る管(精路)が塞がっているため精液中に精子が出てこない状態です。

  • 閉塞性無精子症: 精子は作ることが出来るものの、精子を運ぶための道である精路(精管・副睾丸)が詰まっている
  • 先天性精管欠損: 生まれつき精管がない

3. 性機能障害・射精障害

勃起障害(ED)や射精障害により、精子が膣内に届かない状態です。

男性不妊になりやすい人の特徴

以下に当てはまる方は、早めに精液検査を受けることをおすすめします。

  • 喫煙習慣がある
  • 毎日大量飲酒をしている
  • 肥満(BMI 30以上)
  • 長時間の高温環境(サウナ・入浴など)を習慣としている
  • 過去に精巣炎・おたふく風邪(ムンプス)にかかったことがある
  • 精索静脈瘤と診断されたことがある
  • 長期間ステロイドや特定の薬を服用している

年齢が上がると精子の質・量が低下することも知られています。35歳以上の男性は特に注意が必要です。

男性不妊の検査の種類と流れ

男性不妊の検査は、まず精液検査から始めます。侵襲性(体への負担)が低く、短時間で結果がわかるため、不妊の原因を調べる最初のステップとして推奨されています。

精液検査

自宅または院内採精室で採取した精液を分析します。調べる主な項目は以下の通りです。

検査項目WHO基準値(第6版, 2021年)
精液量1.4mL以上
精子濃度1,600万/mL以上
総精子数3,900万以上
前進運動精子率30%以上
総運動率42%以上
正常形態精子率4%以上

注意: 精液検査の結果は体調・禁欲期間によって変動します。1回の検査で異常値が出た場合も、2〜3週間後に再検査して確認することが推奨されます。

ホルモン検査

FSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)・テストステロンなどを血液検査で調べます。造精機能障害の原因特定に役立ちます。

超音波検査(エコー)

精巣の大きさや精索静脈瘤の有無を確認します。

染色体・遺伝子検査

無精子症や高度乏精子症の場合に、AZF(無精子症因子)遺伝子欠失やクラインフェルター症候群(XXY)の有無を調べることがあります。

精液検査の結果の見方

精液検査で異常が見つかった場合、その程度によって次のステップが変わります。

所見目安となる次のステップ
軽度の乏精子症生活習慣改善・タイミング法継続
中等度の乏精子症人工授精(AIH)を検討
高度乏精子症・精子無力症体外受精・顕微授精(ICSI)を検討
無精子症精巣内精子採取術(TESE)を検討

精索静脈瘤がある場合は、泌尿器科での手術(精索静脈瘤結紮術)によって精子所見が改善するケースがあります。

男性不妊の治療法

薬物療法

ホルモン分泌の異常が原因の場合、薬物(クロミフェン・ゴナドトロピン等)でホルモンバランスを整えることで精子数の改善を図ります。

精索静脈瘤手術

精索静脈瘤は男性不妊の最も一般的な治療可能な原因です。泌尿器科で手術(顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術)を行うことで、精液所見が改善するケースが報告されています。

人工授精(AIH)

軽〜中程度の精子所見異常に対して行われます。洗浄・濃縮した精子を直接子宮内に注入する方法で、保険適用の対象です。

体外受精・顕微授精(ICSI)

中〜高度の精子所見異常、または精索静脈瘤手術でも改善しない場合に選択します。特に顕微授精(ICSI)は精子が少数・運動率が低い場合でも妊娠を目指せる方法です。

精巣内精子採取術(TESE/Micro-TESE)

射出精液中に精子が見られない無精子症の場合、精巣から直接精子を採取して顕微授精に用います。閉塞性無精子症では約90%、非閉塞性無精子症でも約50〜60%のケースで精子が採取できると報告されています(施設により異なる)。

精子の質を高める生活習慣

精子の質は生活習慣によって改善できる場合があります。

推奨される行動理由
禁煙または減煙喫煙は精子のDNA損傷・運動率低下に関連
お酒を控える過剰飲酒はテストステロン低下に影響
適度な有酸素運動肥満解消・血流改善・テストステロン維持
陰嚢の高温を避ける精子形成は34〜35℃が最適(体温より低い)。長時間のサウナ・長風呂・膝上PCの使用を避ける
バランスの良い食事亜鉛・ビタミンC・E・葉酸などが精子の質に関与

よくある質問(FAQ)

Q. 男性不妊は精液検査でわかりますか?

A. 大部分の男性不妊は精液検査で把握できます。精子の数・運動率・形態を調べることで、不妊の原因が男性側にあるかどうかを確認できます。ただし、精子のDNA損傷など通常の精液検査では把握できない要因もあるため、精液所見が正常でも妊娠しない場合は追加検査をすることがあります。

Q. 精液検査の結果が悪かったら、子どもはもてませんか?

A. 必ずしもそうではありません。精子の所見異常の程度によって、人工授精・体外受精・顕微授精などの方法で妊娠を目指せます。また精索静脈瘤の手術や生活習慣改善によって精液所見が改善するケースもあります。まずは医師に相談し、最適な治療法を選ぶことが大切です。

Q. 男性は何科を受診すればいいですか?

A. 泌尿器科(男性不妊専門外来)または不妊治療専門クリニックを受診してください。さっぽろARTクリニックn24では、男性側の精液検査から精子所見の評価・次のステップの提案まで対応しています。

Q. 女性側の治療と並行して男性も検査できますか?

A. できます。むしろ、不妊治療は夫婦で同時に原因を調べるべきと言えます。女性側の治療が進む前に男性の精液検査を済ませておくことで、最適な治療方針を早期に決定できます。

n24の男性不妊外来について

さっぽろARTクリニックn24では、男性不妊の検査・精液検査・治療方針の相談に対応しています。精液所見の評価から、顕微授精(ICSI)を含む高度生殖補助医療まで一貫して対応できる体制を整えています。

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参考情報

監修: さっぽろARTクリニックn24 院長 藤本 尚

最終更新: 2026年4月