1. 1978年7月25日から始まった、生殖補助医療の歴史
イギリスで世界で初めて体外受精に成功した赤ちゃん、ルイーズ・ブラウンさんが誕生したのが1978年7月25日です。
ルイーズさんは、2026年7月25日の誕生日で48歳を迎えられ、ご結婚され、2児の母をされています。彼女がこうして年齢を重ね、次の世代へと命を繋がれている事実そのものが、体外受精という医療の安全性と発展の歴史を何よりも証明しています。
当院ブログの過去記事(➔ 体外受精で初めて赤ちゃんが生まれた日)でもご紹介している通り、当時の日本でもこのニュースは「歴史的快挙」として大々的に報道されました。あれから半世紀近くが経過した今、この技術は世界、そして日本国内でどのような推移をたどってきたのでしょうか。
2. データで紐解く:世界と日本における体外受精(ART)出生児数の歴史的推移
国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)や日本産科婦人科学会(JSOG)が公表している公式データから、これまでの歴史的な歩みを節目毎で比較してみます。
世界全体の体外受精(ART)出生児数の歩み

- 1978年: 世界で初めての赤ちゃん誕生(ルイーズさん)
- 2008年(誕生30周年):世界累計 約400万人(不妊治療が世界的なスタンダード医療として完全に認知された時期です)
- 2012年:世界累計 500万人を突破(顕微授精や凍結技術の劇的な進歩に伴い、世界中で出生数が加速しました)
- 2018年(誕生40周年):世界累計 800万人を突破
- 2024年:世界累計(推計) 1,300万人〜1,700万人程度を推測されています。
現在では世界全体で毎年50万人以上の赤ちゃんが体外受精によって誕生していると推計されています。
日本国内の体外受精(ART)出生児数の歩み

- 1985年:年間 27人(日本で体外受精データの公表が始まった初期の記録です)
- 1990年:年間 1,048人(国内の年間出生数が初めて1,000人の大台を超えました)
- 2000年:年間 12,274人 【日本累計:71,794人】(顕微授精や凍結融解胚移植の普及に伴い、年間1万人を突破しました)
- 2010年:年間 28,945人 【日本累計:271,371人】(治療の安全性が確立され、年間2万人を超えました)
- 2020年:年間 60,381人 【日本累計:771,309人】 (技術の成熟が進み、年間6万人を超える規模に達しました)
- 2023年:年間 85,048人 【日本累計:1,003,360人】(初の通年保険適用化などを経て、過去最多を記録。日本国内の累計出生児数がついに100万人を突破しました)
1978年にたった一人の命から始まった挑戦が、今や世界中で何千万ものご家族の笑顔を支え、ここ日本でも累計100万人、年間8万5,000人以上の新しい命を紡ぐまでに広がっています。
3. 普遍的な医療として定着した現代の生殖補助医療とこれからの課題
先ほどのデータの通り、日本の総出生数が減少を続ける一方で、体外受精(ART)によって生まれる赤ちゃんの数は右肩上がりに増え続けています。
ほんの10年前には「クラスに1人くらい(約30人に1人)」と言われていた時代から、今や「生まれた赤ちゃんの約9人に1人が体外受精で生まれた赤ちゃん」という時代を迎えています。体外受精はもはや特別な医療ではなく、子供を望むご夫婦を支える普遍的な選択肢として社会に定着しました。
しかし、現在の保険適用制度には年齢や回数の制限があるため、限られた回数の中でいかに妊娠率を高めるかというシビアな側面や、それに伴う多胎妊娠の増加といった新たな課題もデータから見えてきています。
当院としても、この先人たちが築き上げてくれた歴史と確かな技術を、目の前の患者様へ安全に、そして誠実にお届けできるよう、日々の診療と培養技術の向上に努めてまいります。
4. 関連する専門情報・コラム
- 院長による最新の日本国内データ(2023年版)の解説コラムはこちら:
➔ 【専門医解説】2023年日本の体外受精データ|2022年との比較と現状 - 当院の体外受精(ART)の具体的な治療方針や費用、流れについてはこちら:
➔ さっぽろARTクリニックn24:体外受精について
参考情報
監修: さっぽろARTクリニックn24 院長 藤本 尚










こんにちは、院長です。
本日は、生殖補助医療の歴史において極めて重要な「世界初の体外受精児の誕生日」を起点に、これまでの医療の歩みと、数字から見える現代のリアルな現状について紐解いてみたいと思います。