ヒトパピローマウイルス(HPV)感染
こんにちは。さっぽろARTクリニックn24の検査室です。
今回はヒトパピローマウイルス(HPV)感染についてお話します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒトにのみ感染するウイルスです。
性的接触によって感染し、ヒトの粘膜や皮膚に疣贅(いわゆる“イボ”)をつくります。
そして性別を問わず一度でも性交渉の経験があれば多くの人が感染したことのあるウイルスです。
「感染したことがあるといわれても、疣贅なんて出来たことないけど…?」と思いますよね。
実際、HPVに感染してもほとんどの人は何も症状がなく、自分が感染したということにも気付かないまま数か月後には自然治癒しているのです。
これは体の免疫機能の働きによって、細胞に入り込んだHPVが排出されるからです。
では、ウイルスを排出し切れなかった場合はどうなるのでしょうか?
HPVは塩基配列の違いによって複数の種類(“○型”と表現)が確認されており、
なかには『発がんリスクの高い型』が存在します。
特に16型、18型はがんに進行する頻度が高くスピードも早いタイプであるといわれています。
もしもこれらの型が排出されずに細胞の中に残っていた場合、数十年後にはその細胞をがん化させる可能性があります。(16型、18型が原因とされるがんは子宮頸がんのほかに肛門がんや中咽頭がんなどもあります。)
現在、これらの発がんリスクの高いHPVへの感染を防ぐ方法として「ワクチン」があります。
国内で接種可能なワクチンは3種類あり、いずれも16型と18型への感染を防ぐ効果があるといわれています(すでに感染している場合、HPVを排除する効果はありません)。
年齢によっては公費での接種が可能ですので、お住まいの自治体ホームページなどでご確認ください。
また、ワクチン接種の有無にかかわらず、子宮頸がんについては定期的にがん検診を受けることも大切です。
子宮頸がんは将来の妊娠に大きな影響を与えるがんですので、一度もがん検診を受けたことがない方は健康診断のタイミングなどでぜひ受けていただきたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。