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検査室だより

ー胚の凍結保存(後編)ー

皆さんこんにちは!

前回に引き続き胚の凍結保存について、後編ではその方法についてお話しします。

細胞の中はほとんどが水分でできています。

細胞をそのまま凍らせると中の水分が氷の結晶になって細胞を物理的に傷つけてしまいます。

氷の結晶を作らないように液体から固体にする為に、以下の2つの処理をする方法を実施しています。

① 細胞内の水分を抜いて凍結保護剤に置き換える

② 液体から瞬間的に温度を下げる

 それでは実際の凍結過程を見ていきましょう。

【STEP1】胚を培養液から凍結保護剤に移す

細胞内外で濃度が異なる為、その差をなくそうと細胞膜を通過できる成分が移動します。

水と凍結保護剤では細胞膜の通りやすさが異なる為、まずは通りやすい水が細胞の内から外に移動する(水分が抜ける)ことによって一旦細胞が収縮します。

そのあと徐々に凍結保護剤が細胞内に移動して胚は元の形に戻ります。

【STEP2】胚を濃度の高い凍結保護剤に移す

STEP1よりも濃度の高い凍結保護剤に胚を移します。

すると細胞内外で生じた濃度差によって、先程と同様の原理で更に細胞内の水分が抜けて胚は再び収縮します。

【STEP3】胚を液体窒素に浸けて凍らせる

収縮した状態で極少量の凍結保護剤と一緒に胚をクライオトップに載せてすぐに液体窒素(-196℃)に浸けます。

すると瞬間的に温度が下がり一気に凍らせることが出来ます。

以上が凍結方法となります。

凍結した胚は液体窒素が入った専用タンクの中で保管されます。