―精液検査の基準値について―
精液の妊孕力においてWHO(世界保健機構)が定めている基準値があります。
現在この基準値は2021年に改定されたWHOラボマニュアル(第6版)に記載されているものが最新となります。
以下のページからPDFがダウンロードできます↓↓
WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen
これには「1年以内にパートナーが自然妊娠した男性の精液所見のうち、各項目の数値の下位5%の値」が採用されています。
第5版(2010年)は対象地域が欧米でしたが、第6版(2021年)では更にアフリカやアジアが加わりました。
自然妊娠可能な精子の平均値ではなく、基準下限値(上図参照)を下位5%の値と定めているものになります。※非前進運動率や無力精子率といった数値が低いほど良い項目は除外
しかし、精液所見は地域や人種によってもバラつきがありますし、個人でも体調や環境による変動が大きいです。
実際は基準を下回ったとしても自然妊娠の可能性はあります。所見不良の場合は複数回検査を実施することがあります。
また、たとえ自然妊娠が難しい場合でも結果を基に適切な治療に進めることができます。
逆に精液検査で基準値をクリアしたとしても必ず自然妊娠が保証されるものではありません。
なのであくまで目安ではありますが、治療方針を決めるうえでもとても大切な検査となります。
そして、元気な精子を獲得するためには日頃から心身の健康を意識することが大切になります。
- 喫煙や過度な飲酒を控える
- 適度な運動やバランスの良い食事で肥満や痩せすぎを防ぐ
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない etc…
さらに当院プレコン相談室のインスタグラムにて男性版プレコンセプションケアとして「精子のためにできる10のこと」を投稿しています。
よろしければそちらもご参照ください。
今回はこの基準値がどのように決定しているのか(何を表しているのか)を説明したいと思います。