―胚の凍結保存(前編)―
かつては妊娠の確立を上げる為に個数制限なく胚を移植することがありました。
しかし多胎妊娠の危険があるため、現在では日本産婦人科学会により移植する胚は原則単一とされています。
これには技術の進歩により生存率の高い胚凍結方法が確立されたことも大きく影響しています。
当院では基本的に患者様の持つ卵巣予備能(卵がどのくらい育つか)に合わせて、最適な数の卵を採り、培養した胚は一度凍結しています。
前編ではその理由についてお話します。
繰り返しの採卵を避けることで、身体的、精神的および経済的な負担を減らすことができます。
当院でも1度の採卵で得られた胚で第2子、第3子を出産している患者様もいらっしゃいます。
複数個育てる採卵では特に、薬での刺激による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあり、これは妊娠することで重症化します。
OHSSを避けるために採卵周期では移植せず、採卵後に卵巣の状態を確認して一旦お休みさせることができます。
適切な内分泌環境で内膜が十分に厚くなっているか(着床の準備が整っているか)を血液検査やエコーで確認してから移植に挑めます。
※施設の方針や患者様によっても異なります
今回のお話はここまで。次回は実際の凍結方法についてお話します。
皆さんこんにちは!今回は胚の凍結保存についてです。