『with up! 』 こどもが欲しい”という御夫婦の思いにお応えするために、原因を徹底的に調べ、ひとりひとりに合わせた最適な治療を提供いたします。

検査室だより

-移植に向けたホルモン補充-

検査室

皆さんこんにちは!

今回は凍結胚移植におけるホルモン補充周期のお話です。

当院では基準を満たした胚はすべて凍結し(全胚凍結)、基本的にはホルモン補充によって内膜を着床に適した状態にしてから移植を行っています。

※全胚凍結の理由はこちらでお話ししています→https://sapporoart.com/n24blog/?p=2583

まず通常の生理周期における着床に向けてのホルモンの働きについて説明します。

生理周期における卵巣・ホルモン分泌・子宮内膜の変化

卵巣内の卵胞(卵子が入っている袋のようなもの)は成熟する過程で子宮内膜を厚くする働きを持つ卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。

その後、排卵した卵胞は黄体となり、この黄体は子宮内膜が胚を受容するのに適した状態にする働きを持つ黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。

妊娠が成立しなければ黄体は退縮、血中のホルモン濃度が低下して子宮内膜が剥離します(月経)。

凍結胚移植を行うときは、この卵胞ホルモンと黄体ホルモンをホルモン製剤の投与によって外から補充しています。

移植までの流れ
STEP

【子宮・卵巣チェック】

 まずホルモン補充開始前に子宮や卵巣に異常がないかをエコーで確認します。

STEP

【ホルモン補充開始】

 生理開始2日目から卵胞ホルモン製剤を投与します。

STEP

【内膜チェック】

 生理13-15日目頃に内膜の厚さと血中エストロゲン値を確認し、移植日に合わせて(※)黄体ホルモン製剤を投与します。

※例)培養5日目の胚を移植する場合は移植希望日の5日前から黄体ホルモン製剤を投与

ホルモン製剤の投与は来院不要なので、最短だとSTEP1STEP3の2回の来院で移植に臨めます。

※内膜の厚さが十分でない場合は卵胞ホルモン製剤の投与を追加で継続し、数日後再度エコーで確認します。

ホルモン補充をしない自然周期では、排卵したタイミングによって自動で移植日が決定するので都合の良い日に移植することができません。また、排卵のタイミングをエコーで正確に把握する必要があるため通院が頻回になります。

以上の理由からも基本的に当院ではホルモン補充周期での移植を行っていますが、ホルモン製剤が身体に合わない場合など患者様の希望があれば自然周期での移植を行うこともあります。