梅毒の検査
こんにちは。さっぽろARTクリニックn24の検査室です。
今回は、数年前から感染拡大している「梅毒」についてお話します。
●感染してから約3週間~3か月後
梅毒トレポネーマが侵入した箇所(性器など)にしこり、足の付け根のリンパ節の腫れなどがみられますが、これらの症状は一旦、自然に収まっていきます。
●感染してから約3ヶ月~3年後
血液によって梅毒トレポネーマが全身に運ばれ微熱や倦怠感、全身の皮膚に赤い発疹などが認められます。これらの症状も出現と消失を繰り返します。
“症状が収まる”=“梅毒が自然に治った”ということではありません。体内には梅毒トレポネーマが存在し続けており感染力の強い状態が続いています。
血液で検査が可能です。
(感染リスクがあった場合は潜伏期間がありますので、およそ1か月経過後に検査を受けることが望ましいです。また、症状が収まっているタイミングでの検査も可能です。)
梅毒に感染すると体内では2種類の抗体が産生されるため2つの項目(TP抗体、RPR)の検査が必要となります。結果によっては確認のため別の検査をうけていただくことがあります。
「TP抗体」という項目では“梅毒トレポネーマそのもの”に対する抗体を調べています。
原因菌そのものに対する抗体のため特異性が高いです。しかし、この抗体は梅毒治療後も体内から消えずに残ることが多く、既往がある方の結果の解釈には注意が必要となります。
「RPR」という項目では“カルジオリピン”という物質に反応する抗体を調べています。
カルジオリピンは私たちの細胞を構成する成分のうちの一つです。梅毒が体内で炎症を起こし細胞が破壊されるのがきっかけで抗体の産生が始まります。この抗体が産生される原因は梅毒以外にも知られており、TP抗体の結果と合わせて判断する必要があります。
梅毒は一度かかっても免疫ができないため、感染者との性的接触があれば再感染します。
他の性感染症と同様に、感染していることがわかった時はパートナーと一緒に治療を受けることが大切です。
読んでいただき、ありがとうございました。
“梅毒トレポネーマ”とよばれる細菌が、傷のある皮膚や粘膜から体内に侵入することで引き起こされる感染症です。主に感染者との性的接触によって感染が広がっていきます。
妊娠中に感染した場合は、お腹の中の赤ちゃんにも感染するリスクがあります。