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ホルモン補充周期と自然周期の違いは?凍結胚移植に向けた準備の流れ | 検査室だより | さっぽろARTクリニックn24

検査室

皆さんこんにちは!さっぽろARTクリニックn24 検査室です。

今回は、凍結融解胚移植を行う際の「ホルモン補充周期」についてのお話です。

当院では、採卵で得られた卵子を受精させたのちに培養を行い、凍結基準を満たした良好な胚だけを凍結します(全胚凍結)。採卵した周期に胚移植は行わないやり方です。その上で、基本的にはホルモン補充によって子宮内膜を着床に適した状態に整えてから移植を行っています。

➔ ※当院が「全胚凍結」を行う理由については、こちらの記事[検査室だよりー胚の凍結保存(前編)ー]でお話ししています。

今回は、この「ホルモン補充」がなぜ必要なのか、そして具体的な移植までの流れや、もう一つの移植方法としての 自然周期との違いについて詳しく解説します。

1. 生理周期における卵巣・子宮内膜・ホルモンの変化

まずは、通常の生理周期において、着床に向けてホルモンがどのように働いているのかをご説明します。

1. 卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌

   卵巣内の卵胞(卵子が入っている袋のようなもの)は、成熟する過程で「卵胞ホルモン(エストロゲン)」を分泌します。このホルモンには、子宮内膜を厚くする働きがあります。

2. 黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌

   その後、排卵を終えた卵胞は「黄体」へと変化します。黄体からは「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が分泌され、厚くなった子宮内膜を、胚(受精卵)を受容するのに適した状態に変化させます。

3. 妊娠が成立しなかった場合

   もし妊娠が成立しなかった場合は、黄体が退縮し、血中のホルモン濃度が低下します。その結果、子宮内膜が剥がれ落ちて「月経(生理)」となります。

 

生理周期(月経・卵胞期・排卵期・黄体期)における卵巣の発育、エストロゲン・プロゲステロンのホルモン分泌量、子宮内膜の厚さの変化を示す図説イラスト

  

2. ホルモン補充周期での「移植までの流れ」

ホルモン補充周期を用いた場合、移植日までのスケジュールは以下のようになります。お薬の投与はご自宅で行うため、クリニックへの来院回数が少なくて済むのが特徴です。

 STEP 1|子宮・卵巣のチェック(月経発来直前頃)

まず、ホルモン補充を開始する前に、エコー検査で子宮や卵巣に異常(残っている卵胞やのう腫など)がないかを確認します。

 STEP 2|ホルモン補充の開始(生理2日目〜)

生理開始2日目から、子宮内膜を厚くするための「卵胞ホルモン製剤」の投与(内服薬や貼り薬など)を開始します。

STEP 3|内膜の厚さチェック(生理13〜15日目頃)

生理13〜15日目頃にご来院いただき、エコーで内膜の厚さを、採血で血中エストロゲン値、血中プロゲステロン値22を確認します。十分に内膜が厚くなっていれば、移植予定日に合わせて※「黄体ホルモン製剤」の投与を開始します。

(内膜の厚さが十分でない場合は、卵胞ホルモン製剤の投与を追加で継続し、数日後に再度エコーで確認します。)

※黄体ホルモン投与開始日の例:

培養5日目の胚(胚盤胞)を移植する場合は、移植希望日の5日前から黄体ホルモン製剤の投与を開始し、着床の窓(ウィンドウ)を合わせます。

STEP 4|凍結胚移植

ホルモン製剤の投与はご自宅で継続していただくため、順調に進めば「STEP 1」と「STEP 3」の最短2回の来院のみで、万全の状態で移植当日に臨むことができます。

3. 「ホルモン補充周期」と「自然周期」の違いとメリット

凍結胚移植には、ホルモン製剤を使用しない「自然周期」という方法もありますが、当院では以下の理由から、基本的に「ホルモン補充周期」をお勧めしています。

ホルモン補充周期のメリット(当院が基本とする理由)

移植日を希望に合わせてコントロールできる

お薬でスケジュールを調整できるため、「この日に移植したい」というご自身の都合に合わせて移植日を決定することができます。

通院回数を少なく抑えられる

 エコーで頻繁に卵胞のサイズを確認する必要がないため、通院回数が少なくて済み、お仕事などと両立しやすく、通院の負担が軽減されます。

自然周期のデメリット

移植日を選ぶことができない

 ご自身の排卵したタイミングによって、自動的に移植日が決まってしまうため、スケジュールの調整が困難です。移植日は”決める”のではなく、”決まってしまう”という感じです。

通院回数が多くなる

 排卵のタイミングを正確に把握するため、排卵日が近づくと連日のようにエコー検査のための通院が必要になる場合があります。

 

以上の理由から、当院では患者様の負担軽減と安定した着床環境作りのためにホルモン補充周期を基本としておりますが、「ホルモン製剤がどうしても身体に合わない」といったご事情や、患者様の強いご希望がある場合には、もちろん自然周期での移植を行うことも可能です。

最適な治療方針については、医師と相談しながら決めていきましょう。治療のスケジュールやお薬について分からないことがあれば、いつでも私たち検査室スタッフやクリニックのメンバーにお気軽にお声がけくださいね。