『with up! 』 こどもが欲しい”という御夫婦の思いにお応えするために、原因を徹底的に調べ、ひとりひとりに合わせた最適な治療を提供いたします。

【医師解説】プレコンセプションケアの重要性と、妊娠前に見直したい11の生活習慣 | さっぽろARTクリニックn24

院長写真
院長

こんにちは。札幌市北区の不妊治療専門クリニック、さっぽろARTクリニックn24の藤本です。 当クリニックでは『With Up』〜患者様に寄り添い、共に命の誕生と健康向上を目指します〜を基本理念として日々の診療にあたっています。

「少しでも早く新しい命を迎えたい」「年齢的に焦りがある」「今、自分たちにできることは何だろうか」——。 診察室でお会いする皆さまの切実な想いに応えるために、私たちが治療と同じくらい大切にしているのが「プレコンセプションケア(Preconception Care)」という考え方です。まだあまり認知されていない言葉かもしれないですが、これから皆さんにも覚えてもらいたい言葉です。

1. プレコンセプションケアとは?「健やかな妊娠」へのスタートライン

プレコンセプションケアの定義と目的

か「プレ(Pre)」は「〜の前」、「コンセプション(Conception)」は「受胎(妊娠)」を意味します。つまり、プレコンセプションケアとは「受胎(妊娠)する前からの健康管理」を指します。
2013年にWHO(世界保健機関)によって提唱されたこの概念は、妊娠を計画している方はもちろん、すべての妊娠可能年齢の女性とパートナーにとって、将来の自分たちの健康をより良い状態に保つためのケアです。

なぜ、妊娠「前」からのケアが重要なのか?

赤ちゃんはお母さんの子宮の中で育つわけですが、すべての栄養は母体からの血液で供給されます。そのため、妊娠がわかってから慌てて生活習慣を見直すのではなく、あらかじめ妊娠に向けた体つくりをして準備を整えておくことが、健やかな妊娠、出産、そして生まれた後の子供の一生の健康にも関わってくるということが、近年の研究で明らかになってきました。

プレコンセプションケア チェックシート

今の習慣を、まずは振り返ってみませんか。
パートナーと一緒に、一つずつ増やしていければ素敵です。

さっぽろARTクリニックn24オリジナルのプレコンセプションケア・セルフチェックシート。現在の健康状態や生活習慣をパートナーと共に振り返り、将来の健康管理に役立てるための診断シート。

2. 卵子の仕組みとAMH:専門医が伝えたい「時間の価値」

プレコンセプションケアを理解する上で、まずは女性のからだの仕組み、特に「卵子」について正しく知っておく必要があります。

卵子の数は生まれた時が最大

女性の卵子の数は生まれた時が最大(約200万個)であり、その後は新しくつくられることはありません。月経が開始する頃には20〜30万個まで減少し、さらに1ヶ月に約1,000個ずつ減っていくといわれています。

卵子の年齢は実年齢と同じ

卵子は、あなたと一緒に年齢を重ねます。あなたが35歳なら、卵子も35歳です。年齢とともに卵子の数は減少し、質的な変化も起こりやすくなります。だからこそ、「今この瞬間」からのケアが重要になるのです。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査の意義

当院では、卵巣の中にどのくらいの卵子が残っているかを予測する指標として、AMH検査を実施しています。

  • AMHは「卵子の在庫」の目安: 加齢とともに数値は低下します。
  • 卵子の質を直接表すものではない: 数値が低くても妊娠を諦める必要はありませんが、ライフプランを構築する上での重要な「現在地の確認」になります。

3. 妊娠に適した状態を整える11のセルフケア

専門医として、特に意識していただきたい11項目を、当院独自の視点で詳しく解説します。

① 禁煙と受動喫煙の回避

たばこの煙には約200種類の有害物質が含まれ、卵子の老化や着床への悪影響を引き起こす可能性があります。ご本人だけでなく、パートナーの副流煙(受動喫煙)も避ける必要があります。二人で足並みを揃えた禁煙が不可欠です。

② アルコール・カフェインのコントロール

アルコールは胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊活中から控えることが望ましいです。カフェインは1日300mg未満(コーヒー2杯程度)を目安とし、鉄分の吸収を妨げないよう食事直後は避けましょう。

③ 適正体重の維持

BMIは18.5〜25未満が標準ですが、当院ではBMI 21〜22を目指すことを推奨しています。 「やせすぎ」も「太りすぎ」も妊娠前は月経不順や排卵障害の原因となり、妊娠後は赤ちゃんの低体重や分娩時の合併症(難産、出血多量)につながる可能性があります。

④ バランスの良い食事

タンパク質(肉・魚・卵など)、炭水化物(ごはん・パンなど)、 脂質、野菜や果物などのビタミン、ミネラルを組み合わせた食事がバランスの良い食事です。これら5つの栄養素が揃ってこそ、細胞が生まれ変わり、脂肪がエネルギーとなり、からだが健康的に働きます。1回の食事でバランスよく摂ることは難しいので、1日トータルの食事で考える習慣をつけましょう。下記図の『まごは(わ)やさしい』はバランスの良い食事をとる目安となるでしょう。

プレコンセプションケアにおける食事の基本「まごは(わ)やさしい」の図解。健やかな身体づくりに欠かせない、日本古来の健康的な食材バランスをわかりやすくまとめたイラスト。

⑤ 葉酸の積極的な摂取

厚生労働省は、妊娠1ヶ月以上前から1日400µgの葉酸摂取を推奨しています。赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぐためには、妊娠に気づく前からの継続的な摂取が重要です。食事だけでは不足しやすいため、サプリメントの活用も検討しましょう。 

⑥ ストレスをためこまない

日常生活の中で、人は少なからずストレスを感じながら生活しています。日々一生懸命な人ほど、知らず知らずのうちにストレスを蓄積していることがあります。ストレスの多い生活は交感神経を刺激し、血管が収縮することで温かい血液を全身に送りにくくなり、からだの冷えにつながることもあります。

また、全てのストレスを無くすのは難しいですが、ストレスと上手く付き合うには、自分のストレスについてよく知り、適切な対処をすることが必要です。

⑦ 運動習慣:血流は大切な栄養源

運動することで全身の筋肉を使います。筋肉は血液を循環させる働きやからだの熱を生み出す働きがあります。血液の循環が悪いと、からだは生命維持に重要な器官(胃や肝臓など)へ重点的に血液を送ろうとし、生殖器官などへの血液が後回しになります。からだの各器官に十分な栄養を届けるため、血液循環を良くすることは大事なことです。

⑧ 歯科ケア:早産リスクとの関連

歯周病がある場合、早産や低出生体重児のリスクが高まるという報告があります。妊娠前に歯科検診を受け、口腔内を清潔に保つことは、健康な妊娠継続への大切な一歩です。

⑨ 感染症のチェックとワクチン接種

風疹などの感染症は、妊娠中に罹患すると赤ちゃんに影響を及ぼす恐れがあります。抗体がない場合はワクチン接種を検討しますが、風疹のワクチンは生ワクチンとなり、接種後2ヶ月間の避妊が必要となります。妊活を始める前からワクチン接種をしておくと安心です。

⑩ 持病と服薬の確認

自己判断で薬を中断すると、持病が悪化して妊娠に悪影響を及ぼすことがあります。必ず主治医に相談し、妊娠中でも継続可能な治療への調整を行ってください。

⑪ 将来のライフプランの設計

40歳を過ぎると流産率の上昇や合併症のリスクが高まります。生物学的な適齢期とご自身のライフプランを照らし合わせ、パートナーと将来像を共有することが大切です。

不妊治療専門医が推奨するプレコンセプションケア・妊娠前からできる11のこと一覧表。禁煙、適正体重、葉酸摂取、ストレスケアなど、健やかな妊娠のために見直したい生活習慣のチェックリスト。

4. さっぽろARTクリニックn24からのメッセージ

不妊治療は、どちらか一方だけが頑張るものではありません。

当クリニックへ通院される皆さまが、一日でも早く新しい家族をお迎えできるよう、私たちはスタッフ全員で最適な治療とケアを提供いたします。 プレコンセプションケアは、決して難しいことではありません。今の自分を大切にすること、そして二人で未来への準備を整える前向きなステップです。

はじめに「プレコンセプションケアチェックシート」で、ご自身のこころとからだの状態を二人で見つめ直すことから始めてみませんか?

お一人で悩まず、いつでも私たちにご相談ください。皆さまの新しい一歩を、誠心誠意サポートさせていただきます。

まずはお気軽にご相談ください。

→ 初診・ご相談のご予約はこちら

関連記事

参考情報

監修: さっぽろARTクリニックn24 院長 藤本 尚

最終更新: 2026年5月