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ホルモン補充周期による胚移植の実際と子宮内膜・妊娠率の関係|検査室だより – さっぽろARTクリニックn24

検査室

皆さんこんにちは!さっぽろARTクリニックn24検査室です。

今回は、『ホルモン補充周期』による凍結融解胚移植について、当院での実際のデータや臨床での具体的なお話をしたいと思います。

※ホルモン補充周期の基本については、過去の「検査室だより」もあわせてご参照ください↓↓

ホルモン補充周期における子宮内膜の目標値とスケジュール

ホルモン補充周期の移植では、卵胞ホルモン(エストロゲン)の投与によって子宮内膜を6-8mm以上にすることが必要であると言われており、当院では基本的に8mm以上を目指しています

具体的な治療の流れ

  1. 生理2日目(D2)から卵胞ホルモンの投与を開始します。
  2. 生理13日目〜15日目(D13-15)に、エコー(超音波)検査で子宮内膜の厚さを確認し、エストロゲンとプロゲステロンの採血をして、必要なホルモン値が得られているかを確認します(内膜チェック)。
  3. 内膜が8mm以上あれば移植日を決定し、その日に向けて黄体ホルモンの投与日を決定して移植日と時間、そして妊娠判定をする日を決めます。

もし1回目の内膜チェックで8mm未満だった場合は、卵胞ホルモンの投与量を調整・追加しながら継続し、後日再び内膜チェックを行う場合もあります。

ホルモン製剤の種類とそれぞれの特徴

移植に使用するホルモン製剤には、飲み薬、貼り薬(テープ)、塗り薬(ゲル)、腟座薬、注射など、さまざまな投与方法があります。これらのホルモン製剤は、妊娠判定日まで(妊娠した場合は妊娠9週まで)継続して使用します。

どの投与方法が優れているということはなく、それぞれ体内に作用する経路や吸収率が異なり、効果には個人差もあります。また、それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。

 

ホルモン製剤
ホルモン補充周期で使用される様々な薬(飲み薬、貼り薬、腟座薬、注射器など)が集まった画像
  • 経口投与(飲み薬):飲み忘れのリスクや、悪阻(つわり)の際の内服の難しさ。
  • 経皮投与(テープ):テープが剥がれてしまったり、皮膚がかぶれたりする可能性。
  • 経皮投与(ゲル製剤):アルコールを使用するゲルのため、アルコールで皮膚が赤くなる方には使用することが出来ません。

当院では、それぞれのデメリットを補い合えるよう、卵胞ホルモン補充には「飲み薬」と「貼り薬」、黄体ホルモン補充にはさらに「腟座薬」を組み合わせた併用療法を基本としています。患者様への負担が大きい「注射」は、内膜が厚くならずに追加の卵胞ホルモンが必要な場合にのみ限定して使用しています。

当院の臨床データ:内膜チェックの厚さと内訳

2019年5月(開院)〜2023年12月までの間に当院で実施された移植件数は計1,670件でした。そのうち「自然周期」が15件、「ホルモン補充周期」が1,655件と、多くの方がホルモン補充周期を選択されています。

このホルモン補充周期(1,655件)の内訳は以下の通りです。

内訳
  • 1回目のチェックで8mmを超えたケース:1,512件
  • 1回目のチェックで8mm未満だったケース:143件

さっぽろARTクリニックn24における移植件数1,670件(2019年5月〜2023年12月)の内訳フローチャート。自然周期15件、ホルモン補充周期1,655件。ホルモン補充のうち1回目の内膜チェックで8mm以上が1,512件、8mm未満が143件。8mm未満のうち140件に追加投与を行い、最終的に115件が8mm以上に到達したデータを示している。

そのうち内膜を厚くする目的で卵胞ホルモンを追加投与した140件のうち、115件が最終的に内膜の厚さが8mm以上になりました。

※内膜が8mmに達しなかった場合も6-7mm以上あるため移植可能と判断し、患者様の希望によっては移植を実施することもあります。

※卵胞ホルモンの追加投与後も内膜が十分な厚さにならなかった場合は投与を中止し、次周期以降に仕切り直しになります。上記のデータには含まれていません。

子宮内膜が移植可能な厚さ(8mm以上)になるまでの日数

卵胞ホルモンの投与を開始してから、内膜が移植可能な厚さに達した日数(生理何日目か)のデータをグラフにまとめました。

卵胞ホルモン投与から子宮内膜が8mm以上に達した日数(生理何日目か)の割合と、追加投与した日数の内訳を表す棒グラフ。D13-15の初回チェックで大半が達成しており、追加補充の場合も5〜7日の追加(D18-22)で多くが目標値に到達していることを示している。

データを見ると、ほとんどの方がD13-15の1回目の内膜チェックで8mm以上に達しています。また、1回目で8mm未満だった場合でも、おおむね5〜7日間の追加投与を行うことで、D18-22には必要な厚さに到達していることが分かります(追加投与の最長日数は15日間で、D28のチェックで移植が決定したケースもありました)。

※内膜チェックの時期は休診日や患者様都合によりD13-15から前後することがあります。特に大きく日数が前後しているものはゴールデンウィークや年末年始といった長期休暇と被っていたり、体調不良等により来院ができなかったものになります。

内膜の追加補充による妊娠率への影響

「初回のチェックで8mm以上あった場合」と、「追加補充をして後から8mm以上になった場合」での妊娠率を比較したデータです。

初回の内膜チェックで8mm以上だったグループと、卵胞ホルモンを追加補充して8mm以上になったグループの妊娠率を比較した棒グラフ。両グループ間で妊娠率に大きな差はなく、追加補充で厚くなれば十分に妊娠の可能性があることを示している。

このデータから分かる通り、初回のチェックで内膜が厚くなりにくかった方でも、追加補充によってしっかりと8mm以上に育ってから移植を行えば、妊娠の可能性は十分に期待できます。

子宮内膜の厚さ(8mm〜12mm以上)ごとの移植件数、妊娠率、流産率の推移を表す複合グラフ。

まとめ

検査室

いかがでしたでしょうか。

ホルモン補充周期での凍結胚移植は、患者様一人ひとりの状態に合わせて適切なホルモン製剤を選択し、必要に応じて追加投与や周期の仕切り直しを行うことができます。そのため、スケジュールをコントロールしやすく、できる限り患者様のご希望に沿った形で最適な状態での移植に臨めるという大きなメリットがあります。

移植周期の進め方や、お薬の使用について気になることや不安な点がありましたら、いつでも検査室スタッフやクリニックのメンバーへお気軽にご相談くださいね。