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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは?初期症状やリスク因子を解説|検査室だより – さっぽろARTクリニックn24

こんにちは。さっぽろARTクリニックn24検査室です。 今回は、不妊治療をする上で知っておきたい「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」について詳しくお話しします。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは?その原因と症状


OHSSとは、特に体外受精を行う際に使われる排卵誘発剤によって、たくさんの卵胞が育ち、その後に採卵を行った後におこる症状です。

通常時には3~4センチほど(親指大)の卵巣が、排卵誘発剤の刺激によって複数の卵胞が発育することで、キウイ大や、人の拳大にまで大きくなります。大きくなることで腹部膨満感(お腹の張る感じ)を強く感じたり、また採卵時に使用する排卵を促すhCG製剤の刺激により、お腹や胸に水が溜まり(腹水・胸水)血液が濃縮されることで、さらに腹部膨満感や呼吸苦、嘔吐、乏尿などの症状が現れます。さらに重症化すると、呼吸困難や腎不全、血栓症(血の塊が詰まる病気)などを引き起こすこともあり、非常に危険な状態になります。

卵胞の数や、採卵の数が増えれば増えるほど、このOHSSのリスクも高くなります。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のメカニズム。薬剤刺激によって卵巣が腫れ、お腹に水が溜まる様子をイメージした医療イラスト

OHSSの種類と発症頻度について

OHSSには、発症する時期によって「早期発症型」と「晩期発症型」の2つのタイプがありますが、現在は多くの人が全胚凍結(採卵した周期に胚移植をせずに、胚を凍結した上で別の周期にはい移植をする)を行うため、晩期発症型のOHSSに至ることは極めて稀です。

  • 早期発症型:hCG製剤(排卵を促す注射など)を使ってから、数日~7日以内に発症します。体からhCGが消失すると症状は改善してきます。概ね採卵後10日程度には改善してきます。
  • 晩期発症型:hCG製剤を使ってから、10日以上たってから発症します。多くは採卵後に新鮮胚移植を行った際に発症します。新鮮胚移植により妊娠に至った場合には、自前のhCG分泌により症状のさらなる増悪、長期化をきたす場合があります。

妊娠が成立した場合の影響

先述のように、採卵周期に妊娠が成立しない場合は、月経(生理)が始まるころになると、自然と症状が軽くなっていくことがほとんどです。しかし、採卵周期に新鮮胚移植を行い妊娠が成立した場合は、お腹の赤ちゃん(胎盤)から分泌されるhCGホルモンの影響で、症状がさらに悪化・長期化してしまいます。そのため、新鮮胚移植を行う場合には注意が必要です。

データから見る重症化の頻度

日本産科婦人科学会の調査(2002年)によると、排卵誘発を行った周期のうち、重症化する頻度は0.8%〜1.5%と言われています。決して全員に起こるものではありませんが、不妊治療を進める上でおさえておくべき大切な副作用の一つです。

見逃さないで!OHSSの主な初期症状(自覚症状)

OHSSは重症化させないための「早期発見」がとても大切です。ご自身で以下のような体調の変化がないか、こまめにチェックしてみてください。

  • おなかが張る、痛む
  • 体重が急激に増える(数日で1〜2kgなど)
  • おしっこの量(尿量)が減る
  • 吐き気、気持ち悪さがある

もしこのような症状を感じた場合は、水分を十分に(こまめに)摂取し、激しい運動は控えて、すぐに医療機関へ相談・受診してください。

OHSSになりやすい人の特徴(リスク因子)

体質や年齢などによって、卵巣が過剰に反応しやすい(OHSSのリスクが高くなりやすい)方がいます。

日本産科婦人科学会が行った生殖補助医療登録施設を対象とした調査によると、排卵誘発周期あたりのOHSSの発症頻度は重症が0.8%~1.5%あるといわれています(生殖・内分泌委員会報告:日本産科婦人科学学会誌2002;54:860-868(Ⅲ))。

主な自覚症状(初期症状)はおなかが張る、痛む、体重が急に増える、尿量が減る、吐き気などです。このような症状がある場合は水分を十分摂取し、激しい運動は控え、医療機関に相談するようにしましょう。

OHSSの代表的な初期症状(自覚症状)をまとめたイラスト。お腹の張りや痛み、急激な体重増加、尿量の減少、吐き気を訴える女性のセルフチェックイメージ
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と言われたことがある方
  • hMGなどのゴナドトロピン(排卵誘発剤)の使用量が多くなりそうな方
  • 採卵前のトリガーとしてhCG製剤を使用した方
  • AMH(アンチミューラリアンホルモン)の値が高い方
  • 過去にOHSSになった経験がある方
  • 35歳未満の若い方
  • 痩せ型(やせている)の方

クリニックでの対策と患者様へのお願い

医療側(当院)の工夫

今現在、OHSS対策の一番は『予防』になります。一人ひとりの体質や卵巣の状態に合わせ、特にOHSSが起こりやすい方には、OHSSになりにくい卵巣刺激法を行うようにしたり、採卵後にOHSSを予防する薬剤の使用をしたりすることで、いかにOHSSにならないようにするかを考えています。

患者さん側へのお願い

採卵後に、上記で挙げたような自覚症状(初期症状)を見逃さないよう、ご自身の体調に目を配ってください。

まとめ

OHSSは全員に必ず起こる副作用ではありません。しかし、重症になるとさまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。

患者さんの体質によって卵巣の反応には個人差があるため、100%完全に予知して予防することは難しいのが現状です。だからこそ、「おや?」と思う初期症状を早く見つけ、すぐに適切な対応をとることが何よりも大切になります。少しでも不安な異変を感じたら、我慢せずいつでもクリニックにご相談くださいね。